世界中で愛されているCMS、ワードプレス。

もともとは「もっと自由にブログを書きたい」という思いからオープンソース(誰でも自由に使える仕組み)として開発されました。

特定の企業が独占するのではなく、世界中の開発者が協力して作っているからこそ、誰でも無料でホームページが作れる。この仕組み自体は、本当に革命的で素晴らしいものだと思います。

テーマを選んで、パズルみたいに要素を当てはめていけば、あっという間にサイトができる。 「お問い合わせフォームが欲しい」「SEO対策もしたい」と思えば、プラグインをポンと入れるだけで解決する。

「とりあえずワードプレスで作っておけば安心」 そう言われるのも、無理はありません。

でも、日々Webの現場にいる私は、その便利さの裏側で、いつも少しだけ**「怖さ」**を感じているんです。

フォームを置いた瞬間に始まる、見えない戦い

たとえば、お問い合わせフォーム。 「連絡先を入れる箱」を置いただけのつもりでも、裏側ではちょっとした戦いが始まっています。

対策なしでフォームを公開すると、驚くほどの速さでスパムが届きます。 意味不明な英語の羅列、怪しいURL、時にはウイルスの入り口になるようなリンクまで。

「なんでウチのような小さなサイトが?」と思うかもしれませんが、理由はシンプル。「ワードプレスは世界中で使われているから」です。

みんなが使っている=攻撃する側からすれば「同じ方法で一気に攻撃できる効率の良いターゲット」でもあるのです。これはワードプレスが悪いわけではなく、いわば有名税のようなもの。

だからこそ、「人気があるから安心」ではなく、「人気があるからこそ狙われる」という意識が少しだけ必要なのです。

「プラグインを入れたから安心」という落とし穴

「セキュリティ系のプラグインを入れているから大丈夫」 そう思っている方がいたら、少しだけ立ち止まってほしいのです。

無料であれ有料であれ、プラグインは「万能の盾」ではありません。

これを確認せずに「なんとなく」で入れたプラグインが、逆にセキュリティホール(穴)になってしまうことさえあります。 「守るために入れた番犬が、実は泥棒にドアを開けていた」なんてことになったら、目も当てられませんよね。

知らない間に太っていくサイト

もう一つ、私が気になっているのが「サイトの肥大化」です。

ワードプレスは、もともと着ている服が少し厚手です。 そこに、便利なテーマを着せて、プラグインというアクセサリーをジャラジャラつけて、高画質な画像のバッグを持たせて……。

気づけば、「動きが重くて、身動きが取れないサイト」になってしまっていることがよくあります。

「便利そうだから」と入れた機能の8割は、実は使っていなかったりする。 その結果、管理画面はごちゃごちゃになり、何か不具合が起きても「どこのボタンを押し間違えたのか」さえ分からなくなる。

正直、「もう少しシンプルに、身軽でいさせてあげたいな」と思う場面は少なくありません。

それでも、ワードプレスを否定したいわけじゃない

ここまで少し厳しいことを書きましたが、私はワードプレスを否定したいわけではありません。 これほど自由で、世界中の知恵が集まっているシステムは、やはりすごいです。

ただ、伝えたいのはこれだけです。

「誰でも簡単に始められる」けれど、「何も考えずに放置していい」わけではない。

車と同じです。免許がいらないくらい簡単に運転できる車があったとしても、車検も整備もしないで乗り続ければ、いつか事故が起きます。

ワードプレスは、正しく付き合えば「これ以上ない心強い相棒」になります。 でも、ほったらかしにすれば「トラブルの種」にもなり得ます。

もし今、「なんとなくワードプレスを使っている」「言われるがままにプラグインを入れている」という方がいたら、一度だけ管理画面をゆっくり眺めてみてください。

サイトは「作って終わり」の銅像ではなく、「手間をかけて育てていく植物」のようなもの。 「今日もおかしなところはないかな?」と気にかけてあげる。 その意識を持つだけで、あなたのサイトはもっと安全に、もっと愛着のある場所に変わっていくはずです。